マーチャンダイジングとはお店のシナリオづくりです。どのような品揃えの店にしていくか。その「品揃え計画(方針)」(1)から、商品の「調達計画」(2)(取引先開拓)、「価格政策」(3)、計画にそった「店別品揃え計画」(4)、マーチャンダイジング計画を維持する「商品コントロール」(5)全体をマーチャンダイジングといいます。
では「品揃え計画」(1)とは具体的にどのようなものなのでしょうか?
お店に展開する商品アイテムの方針、取り扱い商品の計画です。つぎのような業務から構成されます。
- 情報収集(メーカー・業界情報など社外情報、前年販売情報)
- トレンド予測(生活者トレンドなど予測)
- 販売予算設定(予算額、前年比、値入率、荒利益率、売価変更率、ロス率)
- マーチャンダイジング基本方針
- 商品構成基本方針(取り扱い商品構成方針)
- 商品選定基本方針(品質基準、カラートレンド)
- 商品管理基本方針(在庫政策、導入・見切り・打ち切り)
- 売場展開基本方針(販売方針、販売什器)
- 客層・市場ターゲット設定(客層別構成比、市場別構成比)
- 価格政策(上限・中心・下限売価方針)
たとえば、顧客ターゲット(市場標的)を30〜40歳までのミッシーを中心に、品揃え基本方針はタウンカジュアル。商品構成はタウン50%、シティ20%、ベーシック30%とする。客層別商品構成はミッシー50%、ミセス30%、ヤング20%。商品選定基準は良質、価格は上限5,900円、中心価格3,900円、下限価格1,900円とする。在庫経過の方針は売上の2倍の在庫を限度とする。以上のような方針決定を品揃え政策、品揃え方針といいます。
「調達計画」(2)とはつぎのような業務項目です。
- 仕入政策ポイント決定
- 自部門取扱高予算額(売価ベース)
- 主力取引先の選定(仕入先名)
- 主力取引先取引高(仕入高)決定
- サブ取引先選定(仕入先名)
- サブ取引先取引高(仕入高)決定
- 新規取引先選定
- 新規取引先取引高(仕入高)決定
- 取引先別仕入高、仕入高構成比一覧表
- 導入、打ち切りなど販売期間の設定
「調達計画」立案に当たって政策別商品構成の検討、立案も必要。
- 特価(スポット):来店促進アイテム
- 常備特価:低価格ゾーン品揃え
- 定番:ベーシック商品
- 開発商品(戦略商品):次期定番商品育成
「価格政策」(3)とは取り扱い商品カテゴリー(たとえば品種やブランドなど販売構成区分)ごとの上限、下限販売価格の政策です。つぎのような政策を決定します。<<詳しい解説はこちら>>
- プライスゾーン:取扱商品売価の上限から下限の価格範囲(1,900円〜5,900円)
- プライスライン:ゾーンのなかでの価格ライン(たとえば1,900円、2,900円など)
- プライスライン(PP)数:ゾーンのなかでの価格ライン数(たとえば1,900円、2,900円、3,900円、4,900円、5,900円の5ラインなど)
- プライスポイント:ゾーンのなかの中心ライン(たとえば、3,900円など)
- 「山型」曲線:取扱数量を上限・下限売価は少なく、PPラインはいちばん多く、陳列数が山型になるように在庫計画を立てる
「店別品揃え計画」(4)とは決定された品揃え方針にしたがって店別に具体的に品揃え計画を立案する業務です。チェーンストア企業はすべて同じ売場面積、同じ商圏であれば1枚の品揃え計画ですむのですが、商圏状況も違えば売場面積も違っていることが多いのです。したがって、店別まで品揃え計画を落とし込まなくてはなりません。つぎのような項目からなる計画書を月別に毎月作成する必要があります。
- 販売区分名設定(販売ケース・コーナー・ショップの区分)
- 販売区分別売上数量、数量構成比
- 販売区分別売上金額、金額構成比
- 販売区分別在庫数量、数量構成比
- 販売区分別在庫金額、金額構成比
- 販売区分別マーク数(SKU数;ストック・キーピング・ユニット)
- マーク別(SKU別)販売期間(導入・ピーク・打ち切り)
- 販売区分別レイアウト、陳列計画
- 販売区分別販促計画
「商品コントロール」(5)とは適切な在庫維持のための業務です。過剰在庫になると資金のムダになり、品切れ(欠品)を起こすと売上機会ロス(売れるのに売れない:チャンスロス)になります。売場の適切な管理がとても重要です。つぎのような業務を適切に行わなくてはなりません。<<詳しい解説はこちら>>
- 発注管理(商品補充のための発注)
- 納品管理(検収・検品)
- 陳列(売場への商品陳列)
- 在庫管理(過剰在庫防止、欠品防止、商品回転率向上)
- 値下管理(売価変更による早期売り切り)
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