マーチャンダイジングガイド 第2項
 
売価段階の設定の技術

1.売価段階とは

「売価段階の設定」(プライスゾーン・プライスライン)は、「売価設定」(プライシング)と違う。「売価設定」の方は、「このセーターは、1980円で売ろう」と販売価格を決めることである。これに対して、「売価段階の設定」は、1つの商品について、幾通りかの価格の異なったものを取り揃え、その価格の組み合わせを工夫して、商品構成を行うことである。

2.4段階の設定

売価段階は、次の4段階に設定できれば充分である。

  1. SP(特価)
  2. BSP(常備特価)
  3. BB(定番)
  4. MP(開発商品)

3.「山型」曲線の利用

売価段階を設定するには、下図のような「山型」の曲線を利用するとよい。
この曲線に即して、売価段階を設定する。

4.売価の間隔

売価段階の設定に当たっては、売価が高くなるにつれて、売価と売価の間隔を拡げなければならない。

Aでは31通りもの商品を揃えている。しかも価格の間隔は上から下までほぼ100円きざみになっている。こういったやりかたは、顧客に親切なようで実は決してそうではない。お客様には、例えば2300円と2500円と2600円という3つの商品の価格差がなぜ生じるのかが理解できず、しかもどれを選んだらよいか迷うだろう。
これとBの方のスッキリした売価構成を比べて欲しい。こんな形で売価段階が設定されていれば、お客様には黙っていても、価格と品質との関係がわかる。もし、お客様に「4800円と5800円の品物はどこが違うの?」と聞かれたら、胸を張って「1000円分だけ上等なんです」と答えてよい。

5.売価段階の診断法

1)最低価格段階に弱点がある。
格安品を加えよ。(SP、BSP)

2)最高価格段階に弱点がある。
MPを加えよ。

3)売価段階が余りに近接しすぎている。
もっと間隔をおけ。
4)価格の異なった商品の揃えすぎ。
整理が必要。
5)もっと売価の高いところにも品揃えをすべきである。
山型曲線にせよ。
6)もっと売価の低いところにも品揃えすべきである。
山型曲線にせよ。
7)同一の商品の中に、2種類の市場が共存していることを示す。
8)1商品1種類のみの場合。
品揃えを豊富に。

5.「山型」曲線の応用

<応用1>
「山型」曲線を応用した2つの例を考えてみた。


「山型」曲線をさらに細分化すると、

  • 最高ネゴロでの山型
  • 売れるネゴロでの山型
  • 最低ネゴロでの山型

とに分けられる。
したがって、最高ネゴロ、売れるネゴロ、最低ネゴロそれぞれに、「売り勝てる商品」を品揃えしなければならない。

<応用2>
ベストマーク商品を成功させるためには、下図のように競合店通常価格が山の頂点のやや右にある商品を選び、頂点のやや左の価格で販売する商品でなければならない。