流通再生戦略
 
第6章 よい顧客サービスの源流
 
真実の瞬間(モメント・オブ・トルゥース)
 
 

モメント・オブ・トルゥースとはトドメの一発、真実の瞬間といわれる言葉。闘牛でいわれる言葉だ。顧客によい印象を与えるか、それとも悪い印象を与えるかはほんの一瞬で決まる。顧客を一生の敵に回すか味方にまわすかはほんの一瞬で判断される。顧客がその会社を判断する瞬間は20秒とかからない。

私が受付に2時約束と告げる。受付嬢は、忙しくてコンピュータ画面から目を離せない。数秒後、やっと顔を上げ、ご勝手にどうぞ、早く行ってちょうだい、という風情で対応する。この短時間のやりとりでネガティブな判断をする。この受付の悪印象は無意識にその会社全体の印象になってしまう。これは公正とはいえないが、これが顧客の発想であり、顧客の論理である。

まったく逆の場面を想像してみよう。私があなたの会社に足を踏み入れるやいなや、受付の人はすぐさま「おはようございます。ご用件うけたまわります」と笑顔で対応。面会を伝えると、受付は「少々お待ちください、お茶かコーヒーはいかがですか」と訪ねる。このポジティブなやりとりの瞬間は、私を味方にする。

つぎのような明確な態度がポジティブな瞬間を生み出す。

  • 電話にでるとき、会社名と氏名を名乗る前に挨拶で会話をはじめる。
  • 顧客に話し掛けられたら表情に気を使うこと。笑顔はしかめっ面よりも物事を円滑にする。
  • 顧客の苦情を個人的なものとして受け止めないこと。
    苦情は顧客からの大切なフィードバックをもらうチャンスと理解する。
    脅かされていると感じなければ、うまく話を聞ける。
  • お客様のご要望どおりの応対ができない場合は、いくつか選択肢を与えること。
    お客様は、代替品があれば、希望するものがなくても納得してくれることもある。
  • お客様を他へご案内する場合、ご案内先でお客様の求めるサービスを提供しているかどうか、
    まず先に必ず確認すること。たらい回しは悪印象を生み出す。

前の項目 仕事を遂行する二つの要素 コミュニケーションとリレーションシップ
次の項目 プラス思考とマイナス思考


Copyright 2006 (C) Jericho Consulting Co.,Ltd.
本サイトの全ての文章、画像を無断で転載することを禁じます。