|
日本の小売業者の情報活用は十分ではない。固定概念ができあがっており、柔軟に情報を引き出して利用する企業文化が希薄である。勘と経験が優先されるケースが多い。
情報が使われない理由は以下の5項目。
- めぐまれた環境にあるため情報をそれほど必要としない。やがて「ゆでガエル」状態になりかねない。
- マーチャンダイジングは小売業優位。自社リスクによる商品調達は稀で、売れなければ返品するといった問屋依存型、リスク「ツケ回し」の他人依存型マーチャンダイジング。そのため情報はそれほど必要がない。
- 貧弱なコンピュータ・システムが原因。情報はわかりやすく、使いやすく、質の高いものでなくてはならないのに事務計算の延長のようなシステムを後生大事に守り、それがシステムと誤解している。システムにあまり投資しない。もっとも問題なのは、経営者がシステムに疎いこと。「情報のスプロール化」(無秩序でアンバランスな都市のスプロール化現象からきた造語)という用語があるように、情報の無秩序な開発が行われてきたために、無秩序な情報システムになっており、情報を使いにくくなっていて、使おうとしない。
- 日本は勘を極度に重要視する文化、風土がある。『意識の心理』の著者、ロバート・オーンスタイン教授は、人間の脳は左半球と右半球でその機能が違うことを唱えた。左半球は、言語、計算、批判、論理、分析など合理的な働きを担当し、右半球は、視覚、図形認識、音楽、全体的推理など直感的な働きを担当していることを指摘したのであるが、日本人は一般に直感すなわち右脳が特に優れているといわれている。日本人は勘を極度に重要視する。
- コンピュータ・アレルギーの存在。コンピュータ導入の歴史が浅いために、自分とは違う特殊な人間の世界であると決めてしまっていることが原因となっている。今日ではどんどんコンピュータテクノロジーが、人間に接近してきている。ますます、コンピュータは使いやすくなってきた。にも関わらず、さわろうとしない経営トップが多い。
|