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第5章 小売技術論(2)−正しいデータ分析
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情報の役割
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車にスピードメーターがなければどれぐらいの速度で走っているかわからない。スピードメーターは情報である。夜間、磁石がなければ北に向かっているのか西に向かっているのかわからない。磁石の針は情報そのもの。最近ではカーナビが車に装備されることが多くなった。カーナビは、いま、どこを走っているか位置を教えてくれる。カーナビもまた貴重な情報システムである。カーナビのナビはナビゲーション。ナビゲーションはナビゲートの名詞。ナビゲートはラテン語の「船を動かす」、操縦する運転する、航海するという意味を持っている。 経営においても情報がなければ、いま、どのような状態にあるのかまったくわからなくなる。勘や経験だけでなく、科学的・数学的な情報がないと実態のポジションの把握は難しい。 サイバネティクスの創始者であり、『人間機械論』の著者でもある著名なN・ウィナーはつぎのように述べている。「情報とは、われわれが外界に対して自己を調節し、かつその調節行動によって外界に影響を及ぼしていく際に、外界との間で交換されるものの内容を指す言葉である。情報を受け取り利用していくことによってこそ、われわれは環境の予知しえぬ変転に対して自己を調節していき、そのような環境のなかで、効果的に生きていくのである。(中略)効果的に生きていくということは、適切な情報をもって生きていくことである。」 かなり前、ガルブレイスは「不確実な時代」、ドラッガーは不連続で新奇性の増大する「乱気流の時代」という本を出版した。歴史を刻めば刻むほど時代は不透明、不連続がましている。明日なにが起こるか予想できない。予測不可能な時代に生きている。 過去の延長線上で考えられなくなった今日、遅すぎて失敗しないように、タイミングが重要。「前ぶれ」を感知する柔軟性が必要である。前ぶれを感知できる適切な情報があってこそ、タイミングを失わず、外界の変化に能動的、革新的に適応することができる。ぼやぼやしていると時代の変化の波に飲み込まれてしまう。 外界の変化に、自らを調節し、適応していく過程で必要な要素は数値で表した情報である。組織や個人は、外界の変化を感知――情報として受け取り、その情報を評価し、自らの行動を環境に適応させるために選択(意思決定)し、目的を実現するために、情報を必要とする。この外界の感知の仕組みづくりが情報システムづくりであり、単なる事務計算は情報システムではない。
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