流通再生戦略
 
第5章 小売技術論(2)−正しいデータ分析
 
平均値と構成比の意味
 
 

平均や構成比という数値は絶対数値ではない。統計数値である。平均的なお客も平均売上も統計の話であって、現実ではなく、抽象である。数値の意味をしっかり把握しておかないと判断を誤る場合がある。

A君とB君の平均点が同じく60点だったとする。さて、どちらを採用すべきか判断に困る。どちらも同じ点数だから、能力に差がない。しかし、実際はつぎのようになっていたとする。

A君は、数学が90点、英語が30点で、平均が60点。B君は数学が60点、英語の60点で、平均点は60点。数字を扱う業務ならA君を採用。英語を使う業務ならB君を採用ということになる。つまり、平均では問題点が隠されてしまうことになる。より実態に近づくには、平均ではなく、絶対数値を見ていかなくてはならない。

構成比にしても10万と2万と5000という数値があるとすると、それぞれの構成比は80%、16%、4%である。80%だから大勢を占めているが、4%は少数だから無視してよいと言うことになる。パーセントにしてしまうと絶対値としての数値の大きさが見えにくくなる。無理矢理、ゼロから100の間に置換してしまうのが構成比である。100以上の数値はない。

もちろん、それなりに役割もある。たとえば、店舗の生産性など比較するとき、全店平均に対し、どのような数字の位置にあるかを判断でき、便利である。構成比も全体の構成や構造を把握するのに便利である。構成比が高いのでとても重要であるとか小さいから無視してよいなどである。

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