流通再生戦略
 
第4章 小売技術論(1)−正しい分類
 
分類の問題点
 
  分類は小売業の生命線。分類体系が劣悪だとマーケットを的確に把握することができない。POSという近代兵器を使っているのに、分類が悪いために、とれるデータがとれない。つまり、データという大きな「財産」を毎日捨てている結果となっている。早急に分類を改善し、マーケット、顧客の顔、顧客ニーズが見えるデータベースにする必要がある。以下、分類の問題について列記する。

(1) バスケット分析をした。野菜を購入した人の93%が野菜を同時に購入していた。
(2) 野菜を購入した人の91%が同時に魚を購入していた。
(3) パンと惣菜を一緒に購入した人は購入客数の40%だった。
(4) パンを購入した人の68%が惣菜を購入していた。
(5) エルメスの時計を購入した顧客はわかったが、エルメスのバックを購入した人はわからない。
(6) 全館でキュロットスカートが何枚売れているか把握できない。

(1)(2)(3)(4)の問題は分類が品目まで細かに分類していない問題である。野菜の何を購入した人が同時に何の野菜を購入しているのか分類できないと何の意味もない。人参を購入した人の30%が同時にゴボウを購入している。つまり品目レベルまでデータを把握しないと買い物動向は見えない。野菜という部門を購入した人の93%が野菜を購入しているとマイニング(統計手法による分析)してみても何の意味もない。

パンと惣菜の購入者が顧客数の40%もあまり意味がない。メロンパンを購入した顧客の68%が同時にいなりずし5個入りを購入しているとわかれば、メロンパンといなりずしの関係が高いことがわかり、陳列位置を近くするなど工夫のアイデアになる。分類が悪いためにきめ細かな顧客ニーズの把握が不可能になっている。

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