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第3章 小売業は効率−オペレーションが再生の決め手
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マネジメントというシステム(仕組み)
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マネジメントもシステムである。マネジメントは、計画、組織、編成、動機づけ、命令、コントロールの集合。これが適切に運営されなくてはならない。
計画とは予測、目的、ゴールの設定。組織とは「誰が舵をとるのか」の責任者の決定。編成とは組織メンバー(従業員)の欲求と組織とのバランスの形成。命令とは命令の方向とそれに関係する責任の明確化。コントロールとは計画と実施を一致させること、結果に対する判断ととるべきアクションの選択である。 マネジメントに関するシステムにも問題が発生する。組織運用における問題点を指摘する。 問題の第一点は、管理する単位が細分化しつつあること。 細分化しすぎるとつぎのような問題が発生する。一つは、コントロールすべきデータが多すぎ全体のシステムを窒息させてしまう。管理者はおびただしいアウトプットを評価しなければならず、データ洪水のために問題のポイントをつかむことができなくなり、逆にいえば末節のくい違いに心を奪われるようになりかねない。細分化すれば管理システムがうまく機能するという錯覚を捨てる必要がある。細分化すればするほど多くの管理者を必要とするが、データを読み取り、正しいアクションを選択し、計画と実績を一致させる一連の行動を実行できるマネジャーを数多くもつことはそれほど簡単ではない。人材育成をできないまま、マネジャーを配置する問題である。 経営学博士のW・H・ニューマンは、「火災のサイレンだけで決して火が消えるものではないように、誰かがその信号に答えるか、もしくはそれを見越した処置をとるときにのみ、経営コントロールは効果をあげることができる」としている。 問題の第二点は、事後コントロールのみ蔓延していることだ。現在の状況をコントロールするのではなく、過ぎ去った過去を互いに指摘しあっているマネジメント姿勢がある。これは組織を窒息させる。 コントロールには、「運用コントロール」(Steering Control)と「事後コントロール」とがあり、前者は全業務が完了するまでに結果を予知し、必要な是正処置をとるプロセス・コントロールである。後者は、行為が完了しその結果が測定されて計画と比較されることである。予算管理システムは、この事後コントロールの代表であろう。 事後コントロールは、業績による報酬を約束することによる刺激にはなるが、文字どおり対応が遅きに失するきらいがあり、あまり効果的なコントロール・システムであるとはいえない。運営コントロールが可能なマネジメント・システムを確立する必要がある。
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