米国DMA&企業視察17年のヒストリーN

2005年10月16日〜19日 第88回DMA大会(アトランタ)


毎回、土曜日と日曜日はプレセッション。日曜の午後から展示会場オープン。月曜日午前8時半から米国国家斉唱とともに大会の幕が開く。連日、非常によい天気だった。
この年はツアーで参加。参加者のほとんどはじめての参加者でしかも英語は程々なので、月曜日の参加のみとなり、早々に(火曜日)ニューヨークに飛んだ。したがって、報告できる内容があまりない。

<プレセッション>
・ Jill Griffin(日曜ランチョンセッション)
カスタマーロイヤルティ 邦訳『顧客はなぜあなたの会社を見限るのか』の著者
※ 非常に有益な書籍であり、読書をお奨めする。
※ プレセッションの申込をしていなかったので入場を拒否された。(残念)
キーワード「顧客のためのあなたのバリューを強化すること」
顧客にどれだけ価値を提供できるかがキー(鍵)
小売業ならディスカウントカードでいくら節約を提供するか(節約が顧客ニーズ)
航空会社なら定刻どおり運行するか(定刻が顧客ニーズ)
価値を提供することが顧客を維持するキーであることを最後に提案した。(New Profit)

<オープニングセッション>
・ DMA CEO John A Greco,Jr
マーケティングを含め人生のすべての面で変化のペースが急速になっている。
ダイレクトマーケティングは、サイズのみならずインパクトで主要な経済力
GDP(国内総生産力)に占める割合は10.4%、1兆ドル
キーワード trust(信頼)と Effective(効果)
ビジネスと消費者間の信頼、セキュリティ、相互信頼が重要(消費者の信頼を築くこと)
データセキュリティがマーケターとすべてのビジネスの大きな問題
ハイボリュームからハイバリュー(高価値)へ変化する必要がある。
*ChoiceとFuture(選択性と未来)
マーケティングを含め人生のすべての面で変化のペースが急速になっている。
ダイレクトマーケティングは、サイズのみならずインパクトや重要性についても経済的な力になっている。
*DMAの今後の活動努力
Value―セキュリティ Network―ダイレクトマーケティング教育のネットワーク Research―ダイレクトメールレスポンスの調査と報告。分科会セッションで報告。レポートとして販売。それぞれについて報告があった。
*パワー・オブ・ダイレクトマーケティング(Power of DM)
Responsibility(責任) Result(結果、成果) Relevant(適切性)
顧客に対する責任、貴社に対する結果、顧客に対する適切性がダイレクトマーケティングを安定的に成長させるために重要な言葉。
※ この3つのR、さらに"ダイレクトパワー"は2006年DMAでも引き続き主張された。
※ アナログ、デジタルとメッセージ手段は多様化し、迅速化している。この変化するマーケット環境で通用するのは"ダイレクト(直接)"。1:1で直結。そのパワーを企業内に確立するためには"3R"は非常に重要。
*リブランディング DMA NEW LOGO 発表。その意味"なぜ新ロゴか?"
ネクストゼネレーションマーケター(次世代のマーケター)は、前向きで若者と共鳴でき、より双方向に集中した群集を動かすことのできる人物。新たな必要性を込めてDMAロゴを変えた。DMAメンバーのニーズにフォーカスするのみならず結果責任にもフォーカスする。新戦略は集中ゾーンを明確化すること。使命は、このゾーンを拡大することによって、メンバーの中期的な経済的興味を最大化していくことにある。

<分科会2005年のコース>
(1)ベーシックトラック、(2)クリエイティブ、(3)CRM、(4)プランニング&リサーチ、(5)リスト/データベースマネジメント、(6)エグゼクティブイッシュー、(7)プロダクション、(8)アザー(他)の8コース
※2006年にCRMはロイヤルティに変更(後述)などセッションの変化が相当ある。元々アトランタやニューオーリンズ開催は著名な講師が集まらず、セッションの数も少ない。
(15)2006年10月14日〜18日 第89回DMA大会(サンフランシスコ)
この年は、はじめてフルセッション申込(同様午前8時半より日曜日午後5時半まで)。プレセッション4コースから一つを選択。本セッションは月曜午前8時半、オープニングセッションから始まり水曜日午前中で終了。

<プレセッションコース(2日間12時間セッション)>
(1) ダイレクトマーケティングユニバースティ
(2) データベース・マーケティング
(3) サーチエンジン
(4) Eメールマーケティング
ダイレクトマーケティングユニバーシティ
・ イントロダクション・ダイレクトマーケター(土曜日午前中)
・ クリエイティブ戦略と戦術(土曜日午後)
・ 顧客情報とメーリングリスト(日曜日午前中)
・ テストと測定(日曜日午後)
※(荒川コメント)分厚いレジュメを配り参加者に質問をしながら講義を進める。ダイレクトマーケティングからデータベース・マーケティング、そしてクリエイティブと基礎についてしっかりと講義を展開していた。CPOなど数値の意味、計算方法、RFMセルコード(アーサー・ヒューズの等分RFM方式)、リストの重要性とリストビューローなど2日間で全体を網羅するセッションだった。

<オープニングセッション・月曜日>
・ DMA会長 John A Greco,Jr
昨年、アトランタに続き「パワー・オブ・ダイレクトマーケティング(Power of DM)」を主題に展開。3つのRの重要性をトピックスにして、スピーチのストリーを展開した。
* Responsibility(責任);パブリックポリシー、プライバシーに対する責任
* Relevant(適切);消費者に対する適切なメッセージ、受容してもらえる情報提供
* Result(結果);企業に結果をもたらすこと
1984年は電話帳と電話、ダイレクトメールしかなかったが、現在はweb、Eメール、TV、モバイルなど多様な顧客デリバリーツールがある。情報デリバリーに責任を持ち、プライバシー責任を遵守し、会社に結果をもたらすことが重要。
マーケティングは昔のように間接的なマスという大衆にするのではなく、顧客個人をターゲットに直接(ダイレクト)に働きかけることが可能になっている。適切に実行すれば「強力なパワー」になる(ダイレクトマーケティング・パワー)。
「われわれのゴールは消費者との信頼の橋を構築すること」と最後に述べた。
※ (DMA会長の紹介で引き続きリチャード・ブランソン登場)会場万来の拍手
・ヴァージングループCEO サー・リチャード・ブランソン 
ビジネス界の大御所、起業家、スリル探訪者そしてヴァージングループCEO
※ 著書邦訳『ヴァージン』TBSブリタニカ、1998年
DMA観客が感動したブランソンの基調講演
ヴァージングループのCEOが強く主張する革新的なビジネスアプローチ
ヴァージングループのCEOは、とどろきわたる拍手喝さいを受けて会場の舞台壇上に上った。
ヴァージンでは、われわれ独自のビジネス法を生み出すことを強いられてきた」と笑うのは56歳の億万長者だ。「最初の3年間、われわれは商標名を使うことを許可されなかった。英国政府がヴァージン"Virgin"を無礼なものとみなしたからだ。そこで私は数多くの手紙を書いてヴァージンとは無礼と正反対のものであると説明しなければならなかった。」
1984年、私は英国のヴァージン諸島で休暇を過ごしていた。プエルトリコに戻る便がキャンセルになった時だった。私は電話をかけてプエルトリコまでの飛行機をチャーターした。空港ではたくさんの人がキャンセル便によって苛立っているのがわかったので、チャーター便の費用2000ドルをその人数で割った。私は空港の黒板に"プエルトリコまで39ドル―ヴァージン航空"と書いた。それは航空業界への進出にしてはかなり不運なスタートだった。」ヴァージン諸島での経験によって、彼自身が航空ビジネスを始めることを確信したとき、長髪でロックレコードを売る会社役員が航空ビジネスの何がわかるのだと、アトランティック航空サイドの金融専門家や出版物はしばらくの間、彼を大声であざ笑った。伝統ある航空会社が赤字を抱えていた当時、彼に成功できると思わせたものはなんだったのだろうか。「ヴァージンアトランティック航空に素晴らしい顧客サービスの価値を持ち込めば、厳しいビジネス環境の中にあっても、大いに成功を収めることができると思った。われわれは正しかった。たった1機の航空機で始め、ヴァージンアトランティック航空はニューヨーク英国間を運行する航空機の中で好んで選ばれる存在となった。」それ以来、ヴァージンアトランティック航空は世界中にサービスを広げ、ブランソンを伝説的人物にした、機内でのマッサージや生演奏、グルメ向きの食事といった"独創的な"ビジネス革新行い、呼び物にしている。
1997年、ブランソンは時代遅れの英国旅客鉄道システム、とくにロンドンからマンチェスターに向かう人気の路線を改善しようと試みた。列車は旧式で、線路は修理が必要なほど深刻な状況であり、サービスは貧相なものだった。政府関係者や鉄道会社の役員の反対にあっても、ブランソンは典型的な因習であるとして改善を推し進めた。「われわれは世界で最も燃費のいい、環境に優しい列車を造った。」「そしてこの列車は時速140マイルのスピードで走る。以来、英国政府は国内の鉄道システムを大きく改善し続けている。製品の改善をさせることは競争を意味するが、誰かが現れて、何かを良くしよう、効率的にしようとすれば、その業界の人間は気を引き締めようとする傾向にある。」
ヴァージングループCEOとして再生可能なエネルギー資源発見のために30億円の寄付を公約したことを受け、ブランソンは聴衆に対し、世界をよくするためダイレクトマーケティングの活動を通して生みだされた財産を利用するよう、熱心に勧めた。「巨大な財産に伴って巨大な責任が付いてくる」と彼は述べ、「ただ単に最も大きなヨットを買うような他の裕福な人々と張り合うためだけでなく、財産は前向きに使われなければならない。ビジネスリーダーには人間としての責任もあるが、しばしばこのことが無視される。」
世界を視野に入れた企業とビジネスリーダーたちは、恵まれない人々や公民権のない人たちに新たな機会を作り出す社会的責任を負っている、とブランソンは語る。確かにそれらの投資は利益にかなり食い込むかもしれないが、対する報酬は莫大なものになる。「あなた従業員が会社を心地いいと感じていれば、あなたは彼らを大事に思っていて、そのことで勤労意欲が向上する。そしてその結果会社の利益が上がることになるのだ。」※(DMA大会事務局翌日配布されるニュースより翻訳)

 




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