流通再生戦略
 
第2章 小売業は人−人材育成こそ再生の条件
 
カッペルの「7つの危険信号」
 
  経営とは成長力を持続すること。近い将来ばかりでなく遠い将来も重要である。経営において長期と短期がトレードオフの関係がよく生じる。短期を優先すると長期的に弱体化する。長期を優先すると短期が問題になる。そのような関係だ。この矛盾を取り除きながら成長力を維持していくことが経営には必要。これがなかなか難しい。目先ばかり優先させ場当り的に対応していくと明日はない。会社の成長は明日へのチャレンジ精神が旺盛であることが必要。チャレンジ精神の希薄になった会社には明日はない。

米国の著名な経営者カッペル氏は、会社の成長をダメにする7つの危険信号についてつぎのように述べている。

(1) 古い作業方法の固守――伝統を後生大事に守り、古い知恵を強制するようになる。
(2) 新鮮な目標の欠如―焦眉の目標のみに注意を集中しすぎ、新しい目標を設定できない。
(3) 内省的思考の不足――計画とコントロールといった活動思考のみ重要視し、精神的活動すなわち内省面を無視する傾向になる。
(4) 制度主義がはびこる。
(5) 積極的経営の不足――あの企業は堅実で安定しているが積極的ではないといった評判がたてられる。そうなると、型にはまった慣習を重視するタイプの人のみが集まってしまう。
(6) かびのはえた知恵の強制――先輩の管理者は、過去に成功したアイデア、方法を頑迷に固執する。したがって、危険な体験を避ける。その結果、若い革新的才能は芽を摘み取られるようになる。
(7) 批判に対する寛容度の低下――部下の意見具申、批判を抑圧するようになる。そのため正しい実態の把握が不可能になる。

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