POSデータ活用学
POSデータ活用学 第5項
顧客購入データ活用
(顧客密着、地域密着経営、FSPの重要性)

成熟市場、高齢化市場、競争激化市場では、従来型の販促手法だけでは生き残ることが出来ません。世界中の小売業が「フリークエント・ショッパープログラム(FSP)」に注目しております。これからの小売業は、ライバル企業との顧客の「争奪戦」です。

■FSPの仕組み
POSは、商品のバーコードを読みとるだけでなく、磁気カードやバーコード方式の顧客カードを読みとることが可能です。この機能をフル活用する仕組みがFSPです。これまでは「なにが売れたか」だけでしたが、これからは「誰が」「いつ」「なにを購入したか」が、販売促進上、重要になってきます。従って、「誰が」はカードをスキャンすることによって、「なにを」は商品のバーコードをスキャンすることによって可能になります。そのデータを顧客データウェアハウス(倉庫)に蓄える仕組みです。

■FSPのコンセプト「お客様はすべて同じではない」
顧客データを分析してみると、すべてのお客様が同じように購入しておりません。月に10万円以上購入しているお客様がいる一方で、100円しか購入していないお客様もおります。もちろんどちらのお客様も重要なお客様です。しかし、10万円以上も購入されているお客様は、ほとんどの商品をあなたのお店で購入していますが、100円しか購入していないお客様は、他店でより多く購入しているといえます。デシル分析(お客様を購入額の多い順に上位から10グループにしてみる分析手法)をしてみると、上位10%のお客様で全体売上高の35%、上位30%のお客様で全体売上高の75%になっています。あなたのお店をひいきにされているお客様(ロイヤル・カスタマー)、月に1回くらいしか来店されていないお客様(チェリーピッカー)など、様々なお客様で構成されています。

■新たな来店促進・単価アップ販促手法
不特定多数にばらまくチラシだけでは販売促進が難しくなってきました。みなさんが異口同音におっしゃっていることです。それでもそれしか手法がなく、例年同様、チラシ作戦を実施しています。勇気ある小売業は新たな挑戦を始めました。顧客カードの発行です。顧客データを獲得するために、ポイントを提供し、お客様の購買明細(レシート内容)をコンピュータに記録する仕組みを導入しています(単にポイントカードを発行し、データベースを準備しないのはFSPではありません。)お客様の購買データによって、期間累計購入金額によってプレゼント・キャンペーンを実施したり、いつも購入している商品にクーポンを提供したり、スタンプラリーやビンゴプロモーションを行ったり、新たな販売促進を実行する小売業が増加してきています。

■顧客データ活用で地域密着の品揃え実現
これまでは売れ筋分析や死に筋分析から品揃えを実行してきました。地域密着、顧客密着の品揃えはもっと深さのある品揃えを実行します。デシル分析で、上位30%のお客様で全体売上高の75%になっていると申しました。上位50%のお客様で90%の売上になっています。従って、より多く購入されているお客様にあった品揃えを実施するのが顧客密着品揃えです。トップデシル(上位10%に入る顧客グループ)の商品購入明細を見てみる。このお客様グループが購入している商品アイテムは、1ヶ月に1個しか売れなくてもきちんと品揃えをしておかなくてはなりません。ほぼ毎日来店され、時に、変わったものを満足して購入しているからです。楽しみを奪うことは顧客満足に違反します。上位10%顧客の購入商品分析、上位20%顧客の購入商品分析、上位30%顧客の購入商品分析は、地域一番店になるための重要な分析手法です(FSPの詳しい学習は、弊社代表荒川圭基の「小売業のためのマーケティング」<かんき出版>をお読みください。)

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