『なぜリーダーは「失敗」を認められないのか』現実に向き合うための8つの教訓
リチャード・S・テドロー 日本経済新聞出版社
 

現代はDENIAL。否定、否認の意味。多くの経営トップは、現状起きていることを否認し、
トラブルを巻き込む。ヘンリー・フォード、A&T創業者一族、シアーズのウッド将軍、
IBMのエイカーズ、コカコーラのロベルト・ゴイズエタ、華やかに登場したドットコムバブルの
ネットスーパーのウェブバンのCEOジョージ・シャヒー(アンダーセンCEOを退社し着任)
の現実否認を興味深く語っている。

クビになったフォードのアーネスト・カンツラー、トロイの木馬の凶事を予言した女預言者カサンドラ、
否認せず現実を受け止めたインテルのアンディ・グローブ、シアン化合物の混入事件で
死者を出したタイレノール(鎮痛剤)へ適切な対応をしたジョンソン・アンド・ジョンソンの
ジェームス・バークは現実を即座に受け入れた。

ドラッカーが、経営者の重要な役割の一つは「組織から恐れを排除すること」と述べている。
インテルのアンディ・グローブ(ハンガリーブダペストでソ連占領軍から逃避)は
「経営者の最も重要な仕事は、社員が市場での勝利に向って情熱的に取組むような
環境を作り出すことだ。恐怖はそうした情熱を生み出し、維持するのに大いに役立つ。
ライバルを恐れ、倒産を恐れ、誤った戦略をとることへの恐れ、そして負けることへの恐れは、
いずれも強力な動機付けとなる」と述べている。