『シ』は単語数が多いので、『ジ』を別ページで紹介いたします。
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カナ 用語 解説
シイ

仕入

【buying】

小売業者や卸売業者が、再販売を目的として商品を購入すること。「利は仕入にあり」「上手に仕入れた商品は、半ば売れたと同然」といわれるように、仕入は、販売活動を大きく左右する重要な活動である。仕入活動のためには、消費市場についての詳細な分析と市場に合った商品の選定が重要であり、売れる商品を、適正な価格で、適当な時期に、適正な量を、信用のある仕入先から仕入れることが重要である。思いつきの仕入れではなく、POSデータを分析、地域性やトレンドを把握し、適量を仕入れることが肝心である。仕入先との約定による仕入れは双方の協力関係が生まれ、結局、有利な仕入れになる。
  仕入方法 商品を仕入れる方法。どのような方法を選択するかを、仕入先と協議して決定することになるが、商品の性格、仕入先との力関係、競合状況、時期などによって種々あり、一般的にはつぎのような方法がある。商品販売リスク面からの仕入れ方法は、売れ残りや格下げ(売価変更)など商品のリスクの自己負担になる買取仕入、在庫管理責任がなく販売分が仕入れとなる委託仕入、在庫管理責任があるが販売分のみ仕入れとなる売上仕入の3種類。商品仕様書の有無による仕入れ方法は、市場選定仕入、仕様書仕入、契約書仕入の3種類。支払いの方法による仕入れ方法は、現金仕入、掛仕入、分割仕入の3種類。仕入の集中による仕入れ方法は、集中仕入、共同仕入、担当仕入の3種類。仕入量による仕入れ方法は、大量仕入、当用仕入(必要なとき必要な数量の仕入れ)の2種類。
シキ 仕切価格 価格を指定しないで売買注文を委託した場合に、実際に取引が成立した価格。逆に委託主から価格を指定された場合に、その価格を指値価格という。
シシ 支出 小売業で使用する支出は家計支出のことであり、消費支出、非消費支出、実支出以外の支出、繰越金の4つの総合である。消費支出は生活費のことで、食料、住居、光熱、水道、家具・家事用品、被服・履物、保健医療、交通・通信、教育、教養・娯楽、その他の支出に大別される。非消費支出は税金、社会保障費などの支出であり、実支出以外の支出は、資産の増加、負債の減少を意味する支出で、貯金や借金返済などである。繰越金は、月末の手持現金残高である。
シジ 市場外流通 卸売市場を通さないで取引される生鮮食品の流通のこと。具体的には、産地直送、流通企業や生協組織と生産者団体との契約購入、流通センターの一括仕入といった動きである。卸売市場を経由することで、生鮮食品の価格が高値に安定しがちだということから、市場外流通を評価する声もあるが、取引総量の割合が少ないことから、生鮮食品全体の価格動向に影響を与えるには至っていない。
 

市場

【market】

商品やサービスの潜在購買者の総需要、あるいは生産者から消費者あるいは使用者に商品やサービスの流れを管理する経営活動の遂行を市場といっている。買い手と売り手が取引する場も市場といっている。小売業では潜在市場の需要を意味することが多い。
  市場機会分析 マーケティング戦略を立案する場合、その企業を取り巻く環境条件をできるかぎり正確に分析することがひとつの前提条件として必要とされるが、その環境分析のなかでは、市場機会分析が特に重要な課題のひとつである。市場にどのようなチャンス(機会)があるかの分析である。
 

市場細分化

(マーケット・
セグメンテーション)

全市場を共通の購入態度や行動、その他の類似の特性をもつもので小部分に市場を区分すること。社会的経済的変数、地理的変数、パーソナリティ変数、購買者行動変数などで市場を区分することが多い。
 

市場占拠率

(マーケット・シェア)

市場占拠率、マーケット・シェアあるいは簡単にシェアともいわれる。特定の商品が、その市場での需要の中に占める比率(パーセント)のこと。
 

市場調査

【market research】

マーケット・リサーチあるいはマーケティング・リサーチともいわれ、市場の動向を的確に把握し、商品開発や流通戦略など企業のマーケティング戦略立案の資料とするための調査。その方法は、調査目的によって異なるが、消費者に対するアンケート調査は市場調査の代表的な方法のひとつである。
  市場分析 市場の特性を調査、分析し、市場像を明らかにすること。製品の購買者、非購買者、使用者、支払者、購入決定者、購買場所、購買時期、購買動機、非購買理由、購買計画の有無など市場を構成する消費者の特性を分析する。市場規模、市場動向、競合状態も市場分析に入る。
シス 指数化 同種の数量の時間的あるいは場所的な変化を比率によって示すこと。まず基準となる時点を決め、その時点の量を基準値100とし、比較する数値をこれに対する割合として98や105といった指数で示すのが一般的。指数比率であるため単位とは無関係となり、統計データなどに用いると、異なった現象の変動を互いに比較するのが容易になる。たとえば、ある年を基準にして、物価の変動と為替レートの変動を比較するなどの場合である。販売データの整理など、基準年を100として指数化すると、長期的傾向をつかみやすい。
シズ シズル効果 音や香りなどによって消費者の五感を刺激し、それによって購買意欲を生じさせる効果。シズル(sizzle)とは英語でステーキなどを焼く時に出るジュウジュウといった音を表わす言葉。香ばしい香りが漂うベーカリーショップ、ジュウジュウという音と思わずよだれが出そうな匂いがするウナギ屋の店頭など、このシズル効果が発揮しやすい商品は食品である。
シゼ 自然増減 出生と死亡による人口の増減をいう。出生が死亡を上まわれば、自然増となる。年間、人口千人当りの出生数を出生率、同じく千人当りの死亡数を死亡率と呼んでいる。出生率と死亡率は戦争、天災、経済事情、知識水準、宗教、人生観、衛生状態、社会風潮、社会体制などの影響を受けるが、日本を含めて先進国では共通して死亡率が減少し、少しおくれて出生率も低下しはじめる。この2つの関係は、高齢化を押し進め、高齢者が多くなり自然減の段階に入る。少子化問題、高齢化問題は成熟社会傾向の大きな課題になる。
シタ 下取り制度 消費者が新たに商品を買い替える場合に、すでに保有している商品に価格をつけて販売業者が引き取ること。自動車やコンピュータ機器で典型的にみられるように、引き取った商品に商品価値がある場合には、中古品市場を形成し、再販売される。その他の商品では、実質的な値引き政策として、または、代替購入を促進するための販売促進策として利用されることが多い。
シチ 視聴率 テレビ放送が一般の家庭にどれだけ見られているかを示す数字で、日本ではビデオ・リサーチ社(ビデオメーター)とニールセン社(オーディオメーター)の2社が視聴率を計算して、毎週新聞紙上などに発表している。計算方法はサンプル家庭のテレビに記録装置を取り付け、その記録結果をもとに算出している。テレビ各局では、この視聴率を上げるため激しい競争を行なっており、興味本位の番組が多くなって質の低下がささやかれている。
シナ

シナジー効果

【synergy effect】

各機能の相互作用の効果で全体効果が大きくなる効果をシナジー効果という。部分的総和より結合した和の効果が大になること。たとえば2+2=5といった効果。新製品の販売にあたり、既存のチャネルに乗せたところ、新製品の売上が伸びただけでなく、既存製品の売上も伸びることがあり、さらに費用、人員の削減にも貢献することがある。これを販売シナジーという。
 

品揃え

(アソートメント)

お客が望んでいる商品、あるいは求めている商品を適切に把握し、それらの商品を取り揃えること。単に商品の種類ではなく、ブランド、サイズ、色、柄、価格など消費者ニーズを捉えたキメ細かな品揃えが重要となる。今日のように競争が厳しいマーケットでは自店の特徴を出さなくてはならない。つまり、どの顧客層に何を提供していくかのコンセプトが重要になってきている。品揃えコンセプトは「幅」で勝負するか「奥」で勝負するかを決めなくてはならない。幅とは商品ライン、奥とはある商品カテゴリーの単品数を意味する。百貨店は幅をコンセプトにした品揃え志向であり、専門店は奥をコンセプトにした品揃え志向である。
 

シナリオ・ライティング

【scenario writing】

技術予測の一手法。シナリオとは時間順序的および同時的な一連の事象を論理的に、しかも各事象のタイミングと相互関連を書き表したもの。特定の事象が将来においてどのような影響をもつようになるかを、影響を受ける要因群を整理し、それらの変化状況を物語風に描写する未来予測手法のひとつ。米国のハーマン・カーンが「2000年」のシナリオを発表して、この手法が広く知られるようになった。インターネットの普及により、将来の消費者行動はどのように変化し、それが既存の小売業にどのような影響を与えるであろうか、長期的将来を見通したシナリオ・ライティングするのも興味深い。
シニ 老舗商法 長年にわたって培ってきたのれんを背景に、永続して経営を続けている老舗企業の経営方法のこと。老舗であるための経営戦略は、基本的につぎの2つの戦略実践があるといえる。顧客の信用や信頼を得るための地道な努力を積み重ねながら、他方で社運をかけた商品開発、新しい組織導入といった、変化に積極的に対応する革新性である。この安定性・合理性と、革新性という2つのバランスが重要である。
シミ

シミュレーション

【simulation】

シミュレーションとは、一般に何かをまねることを意味する。問題解決のためのひとつの手法、実験的解法、解答が求められないときに行う模擬実験をシミュレーションという。現実のシステムを模写するモデルについて実験を行い、それを通じて、現実のシステムについての問題解決を求める。古くは旧海軍の図上演習、近くは飛行機の風洞実験やテレビ・ゲームもシミュレーションといってよい。社会・経済現象の構造や人間行動の解析にはコンピュータ・シミュレーションが使われている。手法としてはシステム・ダイナミックスと、確率的現象を乱数で処理するモンテカルロ法がある。適用分野は、環境問題、医療保健制度の検討、災害時の避難誘導法、交通システム解析など広範にわたる。
シヤ 社会増減 ある地域の人口が、他地域からの転入、あるいは他地域への転出によって生じる増減をそれぞれ社会増、社会減という。わが国においては1960年代の後半からの高度成長期に、この社会増減が人口動態の決定要因であった。過密・過疎問題はこの社会増減がアンバランスに進んだ例といえる。ある堆域の市場としての可能性を予測する場合、人口の絶対的な規模と同時に、社会増=成長市場、社会減=衰退市場の別を正確に判断しておくことが肝要である。この社会増減は商圏構造を変動させる大きな要因であり、小売業ではこの社会増減の動向に絶えず注意を払う必要がある。現在、社会増減現象は昔ほどみられなくなった。
  社会的混載システム 各企業や業者が自己の荷を個別に輸送するのではなく、複数企業による共同輸送システムや、異種輸送手段を利用して、社会的物流の合理化をはかろうとするシステムのこと。企業サイドからみれば輸送コストを低減させるメリットがあり、社会的にみれば交通緩和、省エネルギーに貢献する。ただし、こうしたシステムを発展させるためには、荷のユニット化、パレット、コンテナなどの標準化、コード、伝票類の標準化などの基礎的諸条件を整備する必要がある。
 

社会的潮流

【social trend】

社会や市場に対して大きな変革を与える動き。社会、経済の成熟化とともにマーケティング戦略に影響を与えるつぎのような潮流がある。高齢化社会(シングル世帯・シングル感覚・シングルマーケットの拡大)、少子化社会(長男・長女型市場)、主婦の有職化(共働き世帯の増加)、DINKS(ダブル・インカム・ノー・キッド世帯の増加)、未婚成人化(結婚しないシングル世帯)というようなトレンドが顕著になる。この5つの潮流を見据えたマーケティング戦略の検討、推進が必要になってくる。
シユ

集中仕入

【central buying】

セントラル・バイイングともいい、量販店などのチェーン展開している小売業が、本部で一括して集中的に商品を仕入ること。各店のこれまでの販売動向などを分析し、各店にふさわしい仕入量を設定し、全店分をまとめ集中仕入することによって商品仕入コスト(商品原価)を大幅に下げることが可能となる。一方で、競争激化のため地域に密着した品揃えが不可欠になり、全国一律の仕入では対応できないという欠点もある。そのバランスを形成することが現在の課題となっている。スケールメリット(規模の経済)を追求する集中仕入か、地域密着の品揃えかは経済上トレードオフの関係になる。
  酒税法 酒類の税について定めた法律。製造者は、その製造場から移出した酒類の数量に応じ、また保税地域(輸入した外国貨物を課税保留する所)からの酒類の取引者は、その引き取る酒類の量に応じ、酒税を納めなければならない。税率は酒類の種類別・級別・アルコール分別に、リットル当たりの基本額および加算額が定められている。高級洒類で税抜価額が一定額をこえるものについては従価税率が適用される。
  出張販売 直接消費者が集まるような場所に出向き、商品の効能や品質、使い方などの説明をして販売する方法。具体的方法としては、メーカーが小売店の店頭に出張して実施したり、個人の家庭に近所の主婦たちを集めてもらって実施したりする。化粧品や健康食品、健康器具などによくみられる形態である。この方法は、その場で販売することよりも、商品の特性を直接消費者に知ってもらい、以後の購買に結びつけることを目的とする場合が多い。
  出店凍結宣言 昭和50年代の前半に大型店の出店ラッシュによって地元の商店街が大きな打撃を受けたことから、地方自治体が発した、大型店出店対抗手段である。特に法的根拠はないが、事前に出店拒否宣言をすることによって、大型店出店にブレーキをかけることをねらったもの。大型小売店の出店は、本来は「大店法」にもとづいて調整されることになっているが、通産省は昭和56年10月に大型小売店の出店自粛通達を出し、さらに57年2月には行政指導による出店抑制策の実施に踏み切った。こうした措置により、大型店の出店申請は激減したが、全面的に凍結したわけではない。また、調整せずにすむ小型店舗に切り換えて出店するケースも最近目立つようになった。
 

シュリンク・パック

【shrink pack】

熱を加えると収縮するフィルムで物品をおおい、加熱してフィルムを収縮させて、物品を固定保持するようにしたパックのことで、収縮包装ともいう。
シヨ 商業高度化事業 商業機能を高めるための商業者の改善事業。一般的には、「中小小売商業振興法」で指定している″高度化事業″である。ボランタリー・チェーンやフランチャイズ・チェーン事業、店舗の共同化、商店街の整備事業をさし、中小小売業者の組合や企業が、知事または通産大臣の認定のもとに実施する事業をさしている。この場合には、税制・金融面での優遇措置を受けることができる。
  商業再開発 立地条件の変化や、消費者の購買行動の変化、あるいは、商店街相互の競争激化などに対応するために、商店街などを主体として、より魅力的な商業施設づくりを進めること。とくに、自動車の普及がもたらした、商店街の安全性確保、大型店の出店による競争力の強化が、再開発事業を実行させる大きな要因となっている。
  商業統計調査 全国のすべての商店(卸売業・小売業・飲食店)について、通産省が3年ごとに実施する調査。(経営組織、資本金、開設年、売場面積、従業者数、商品販売額、販売先別割合、販売方法別割合、仕入先別割合、商品手持額、営業経費、セルフ・サービス方式の採用、企業の店舗数、営業形態、来客用駐車場の有無と収容能力がその調査項目。商業動向関係資料ではもっとも信頼できる調査である。
 

商圏

【trading area】

店舗、商店街あるいは営業拠点に、顧客が来店できる地域的な広がりのこと。したがって商圏は、主として何キロメートル範囲というような距離と、車で何分圏というように時間との2つの条件で表現される。商圏の需要量を示すために、需要の第一要因である人口(または世帯数)を基準に、商圏人口何人と表現される。商圏は、競合や需要の吸引力を加味して、一次商圏、二次商圏、あるいは中心商圏、附随商圏と細分化して、出店可能性、業態戦略、品揃え計画(マーチャンダイジング・プラン)などの意思決定に役立てる。
  小集団活動 職場のいろいろな面における改善活動を数人のグループで展開するもの。従業員の参加意識を強める精神活動の側面が強いが、具体的な生産性向上に結びつくケースも多くある。小集団活動のポイントは、全員参加であること、実施はあくまでも自主的にやること、テーマは特に規定しないことなどである。当初、工場などの生産性向上や品質管理運動などで実施されてきたものであるが、その後、流通業でも盛んに取り入れられている。顧客の苦情など販売の現場での情報を積極的に活用するためには、この小集団活動が有効である。
  商調協 正式名称は商業活動調整協議会という。「大店法」にもとづいて、大型店の新設・増設について調整意見をまとめるために設置されている機関。大規模小売店審議会の諮問を受けた各地の商工会議所が、商業者、消費者、学識経験者の代表から委員を選定する。新設・増設店舗の商圏が複数の商工会議所にまたがる場合は、その関係する商工会議所の申し出により、広域商調協を設置することができる。
  商的流通 生産から消費までの取引を、所有権の移転を中心にみたものが商的流通、略して商流という。商品そのものの流れをさす物的流通(物流)に対する用語である。わが国における商的流通は複雑であることから、諸物価上昇の一因になっているとの論議もあり、商的流通経路の短縮化・合理化の必要性がさけばれている。ECR(エフィシェント・コンシューマー・リスポンス)概念、EDI(エレクトロニック・データ・インターチェンジ)概念、SCM(サプライチェーン・マネジメント)概念などが出現し、その実践が始まっている。
  商店街 中小企業庁では、「多数の小売業が地域的に集中して街区を形成し、買物の場となっているもの」と規定している。商店街には、長い時間の経過で誕生した自然発生的なもの、自然発生の商店街を再開発したもの、計画的な商店街(地下商店街、ショッピング・センター)などがある。類似ものとして寄合百貨店、共同店舗、小売市場などがある。商店街として、アーケード設置、チケット販売、共同催事、共同広告、共同顧客カード発行、駐車場設置などの共同事業を行ない、顧客誘引に努める必要性が高まっている。
  商店街近代化 消費者に購買の便宜を与え、購買を喚起・促進し、来街者に気晴らしと楽しみを与えるように商店街の施設や機能を改善すること。個々の商店および商店街は、時間の経過とともに、施設面でも機能面でも老朽化していく。また、消費者の生活意識の変化にともなって、商店街の機能も新しく変わっていく必要がある。商店街近代化は、古くなった建物を新しくするというハード面だけでなく、品揃えや接客サービスなどのソフト面、両方の向上をも含むものと考えなければならない。
 

衝動買い

(インパルス・バイヤー)

来店前まではその商品購入の意思決定をしていないにもかかわらず、思いつきなどで衝動的に購入してしまう買い物行動。商品を購入するにあたり、事前にブランドや価格など十分な計画を立てた上で商品購入の意思決定をしているのを計画購入という。売り手側からみれば、衝動買いを促進させることが売上高の増加に結びつくため、店頭陳列を工夫し、店頭での商品情報の充実などによって、衝動買いを促進するよう工夫している。
 

消費財

(コンシューマー・グッズ)

個人が直接消費する目的で購入する財のこと。消費者が購入・利用するところから消費者財ともいう。また、消費財は人々の生活にすぐ役立つように完成されたものであり、人々の欲求を満たすという意味で、直接財、完成財ともいう。これに対して法人などが生産をする目的で使用する財を生産財という。消費財が直接財であることに対し間接財という。同じ財でもその使い道によって、消費材にもなり生産財にもなるものがある。たとえば、家庭で使う電気は消費財であるが、工場で使う電気は生産財である。消費財は一時的消費財と耐久消費財に分けられる。前者は食物などのように一回の消費で消耗するもの、後者はテレビや冷蔵庫のように長期にわたって利用できるものである。
  消費者行動 商品やサービスの購買行動、時には、使用行動までを含めた消費行動全体をいう。主として、ブランド選択、購入場所、購入頻度、購入数量、購入方法などの側面から分析する。最近の消費者行動の傾向として、価格志向、店舗距離(買い物時間短縮)、選択性、比較購買、ワンストップショッピング志向、コンビニエンス志向、サービス性、快適性、情報性などがあげられる。
  消費者主権 経済学の概念で、規範的には、いかなる経済活動の成果も、消費者の欲求充足という視点から評価されるべきであるとする原理である。これを販売の立場から見ると、「消費者は王様である」「顧客は常に正しい」といった態度になる。しかし現実には、消費者が、自分の本当の欲求を認知しそれを購入行動に移すには、あまりにも情報不足であり、たとえ情報があったとしても、理解しきれないのが普通である。したがって消費者主権という考え方は、マーケティング・コンセプトとして理解したい。
  消費者信用 消費者に対して、企業が商品やサービスを個人信用で先渡しし、あと払いすること販売形態のこと。「掛買い=一回払い」のツケ買い、「クレジットカード方式」、「割賦払い=残金を何回かに分けて支払う方式」の3つの形式がある。残高枠のい定率,または定額を毎月支払うリボルビング・クレジットなどの方式もある。
  消費者物価 消費者がサービスや商品を小売商などから買う段階での価格のこと。消費者物価は、通常、消費者物価指数(CPI)として公表される。物価は、基本的には商品やサービスに対する需要と供給によって決まり、それが企業の経済活動を活発にしたり、あるいは購入者の購入行動に影響を与えることになる。消費者物価のほかに生産者物価、卸売物価がある。
  消費者物価指数 総理府統計局が毎月発表する消費者物価の変化を表わす指数。一般的な消費財やサービスの価格水準の変動を示し、実質的な国民生活水準を示す指標のひとつとして広く利用されている。昭和55年基準で選定された512の品目に関して「小売物価統計調査」から店頭小売価格をつかみ、「家計調査」による品目別支出額でウェイトをかけ、加重平均して算出する。
  消費者物流 宅配便や引越輸送など、一般消費者を対象とした物流のこと。わが国の産業活動が低成長段階に入り、事業用・業務用輸送需要の長期低迷が予想される一方、製品そのものは軽薄短小と呼ばれるように、小型化・軽量化の方向に転換が進んでおり、輸送業界は消費者物流市場の開拓に積極的に乗り出してきた。
  消費者保護基本法 昭和43年に制定された法律で、その骨子は、消費者利益の保護および増進である。国・地方公共団体・事業者の責務を明確にしたうえで、消費者の役割にもふれている。そのうち、国および地方公共団体については、準関係法令の整備と財政上の措置、危害の防止、計量・規格・表示の適正化、公正で自由な競争の確保、消費者の啓発活動および消費者の意見の反映、苦情処理体制の整備、試験検査などの施設の整備、消費者の組織活動促進のために必要な施策を講ずべきことが、唱えられている。
  消費者保護条例 地方公共団体が消費者利益の保護のために自主的に制定する条例のこと。わが国における消費者保護条例の最初は、昭和49年に公布された「神戸市民の暮しを守る条例」であり、その後多くの自治体で制定されつつある。その多くは、消費者被害の救済制度、消費者訴訟のための資金援助、苦情処理窓口の設置、企業などに対する自治体独自の規制基準の設定などが主な内容となっている。条例は「地方自治法」により、厳格にその限界が定められている。
  消費実態調査 全国の消費者世帯53,000世帯(昭和54年の場合)を対象に、家計収支・資産・負債について総合的に5年ごとに行う調査。家計調査が時系列の動きを明らかにすることを目的としているのに対し、この調査は、収入階級別・年齢階層別などの世帯属性別、あるいは地域別など、種々の角度から分析することを目的としている。
  消費生活アドバイザー 通産大臣認定の資格のひとつで昭和56年4月1日付、225人が認定された。企業内で消費者と企業間の橋漬しの役割を果たすことが期待されており、資格試験に合格しなければならない。第一回目以降の試験の合格者は、企業からの派遣者が中心になっている。ヒーブと同様、企業側の受入れ態勢が不備なことも問題のひとつであり、まだ十分に活用されるまでに至っていない。
  消費生活協同組合 通称生協といわれ、消費者が団結し、日常生活用品を共同購入する目的で設立された組織。原則として小人数で構成される班を基礎単位として運営されるが、班組織に加入しない店舗利用のみの組合員もみられる。最近では、産地直送やメーカーとの提携による独自商品の開発、積極的な店舗展開など、活動領域が拡大している。
  消費生活センター 「消費者保護基本法」にもとづいて地方公共団体が制定した消費者保護条例に沿って設置された組織であり、その活動には国からの助成がなされる。活動の主体は、消費者の苦情処理、消費者の啓発、商品テストなど。国民生活センターとの連携により、情報提供・交換など行いながら、消費者行政のための役割を果たそうとしている。
  消費生活用製品安全法 昭和48年に制定された法律で、Sマーク、SGマークなどの根拠法律である。その目的は、消費者の日常生活で活用される製品の安全性確保のために製造および販売を規制し、また安全確保についての民間の自主的な活動を促そうとすることである。実際の事業は、国が一部出資している法人の製品安全協会が行なっている。
  消費性向 個人家計の収入から、税金などの非消費資質を差し引いた残りを可処分所得といい、この可処分所得のうち消費資質にあてられる額が占める比率を消費性向という。可処分所得は支出面から消費と貯蓄に分けられるが、そのうち消費支出に回される分の割合である。家計の消費意欲を示す指標であり、消費性向が高いほど、家計の消費意欲も高いということになる。1996(平成8)年のわが国全国勤労者世帯の平均消費性向は72.0%。この数値は国際的にみて、もっとも低いほうに属する。可処分所得から消費資質を差し引いた残りが家計貯蓄で、その比率を貯蓄性向という。この貯蓄性向が国際的にみて高いほうに属する。
  消費動向調査 消費の予測を行うための、官庁関係では唯一の調査。年4回(3、6、9、12月)、全国の普通世帯を対象に、家計収支、貯蓄などの最近3か月間の実績と、今後3か月間の見通し、暮らし向きに対する消費者の意識や見通し、主要耐久消費財の保有と購入の状況を調査している。消費者の意識に関する資料から消費者態度指数を作成しており、定性的な意識の指数化と予測に活用している。耐久財の保有では、商品ごとに新しい情報が入手できる。
 

商標

(brand)

通称ブランド。商標法では「文字、図形もしくは記号もしくはこれらの結合またはこれらと色彩との結合であって、業として商品を生産・加工・証明し譲渡するものが、その商品について使用するもの」と定義している。商標を独占的に使用するためには、商標を表示した書面に必要な説明書を添付して、願書を特許庁長官に提出しなければならない。商標は、企業にとっては大きな財産であり、消費者に対して、品質についての安全性、信頼性をもたせ、さらには、高品質、所有優越感まで抱かせるものである。一般的な信頼を得ているものは、それ自体が販売促進力をもつため、登録商標は法的に保護されている。女性を中心に消費者のブランド崇拝傾向は相変わらず根強いものがあり、若者にこのブランド志向が強くみられる。ブランド・ロイヤルティという言葉があるが、銘柄忠実度であり、商品購買にあたって同一銘柄の商品をくり返し購入する度合いをいう。
  商品安全三法 消費者保護の原則にもとづき、商品が消費者に危害を与えないようにその安全確保をはかる目的で制定された各種の法令のうち、とくに「消費生活用製品安全法」「化学物質の審査およぴ製品などの規制に関する法律」「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」の三法令を一般に商品安全三法と称している。「消費生活用製品安全法」では、安全基準に適合している場合、検定を受け合格したものとしてのSマークを表示し、また登録製造者が型式の承認を受けたうえで特定商品にSGマークをつけることができ、その特定商品を販売する場合、このマークがなければ販売できない。他の二法は商品に含まれる各種化学物質の使用規制を定めたものである。
  商品回転率 ある一定期間の売上高を平均在庫高で除したもの。荷替り回数とも呼ばれる。この回転率が高いほど販売効率は高く、投下資金効率もよいことを示す。回転率を高めるためには、売上高を増加させるか(積極的政策)、平均在庫高を下げるか(消極的政策)、あるいはその両方の努力が必要となる。自社内の各営業所間の比較、あるいは同業種の標準的回転率との比較のどにより、その適正さを判断することができる。
  商品開発 商品開発は、商品アイデアの探索に始まって、アイデアの選別、試作、テスト、商品化の過程を経て行なわれる。商品開発の解釈はさまざまだが開発の新しさを、技術と市場(マーケット)の二次元から求め、開発作業に入る。
 

商品化計画

(マーチャンダイジング)

適正な商品を、適正な値段で、適正な時期に、適正な数量を、適正な場所で提供するための計画(いわゆるファイブ・ライト)。科学的な手法をもとにした売れる製品づくり、または適切な品揃え計画のこと。前者はメーカーの立場、後者は流通業者の立場に立ったものであるが、マーチャンダイジングという言葉は流通業者に用いられる言葉である。
 

商品構成

(アソートメント)

どのような商品群によって売場をつくりあげるかということであり、小売業にとって重要な商品戦略(マーチャンダイジング戦略)である。商品構成は、系列構成(カテゴリー、あるいは品種)と品目構成の両面をもっている。商品系列構成は、たとえば紳士服店では、コート系列、ジャケット系列といった商品グループをさす。系列構成の拡大は総合化の方向、縮小は専門化の方向になる。商品品目構成は、それぞれの商品系列について、スタイル、素材などによる集合品目(SKU=ストック・キーピング・ユニット)と、さらに細かくカラー、サイズに落とし込んだ絶対品目の構成を検討することによって総合化、専門化の方向性、ライバルに対する競争戦略が決まってくる。系列構成と品目構成で、商品の幅と奥行きを決めることになり、店の性格に大きな影響を与える。商品構成の決定は、経営者あるいはマーチャンダイザーによって決断されるのが普通である。
  商品テスト 商品を、その性能・安全性・耐久性などさまざまな面からチェックすること。メーカーや消費者団体、公共団体などで実施されている。メーカーの行うものは、あくまでも自社製品の市場での優位性確保を前提とした商品テストであるのに対し、消費者団体や公共団体のそれは、消費者やユーザの立場に立って安全性などをチェックしており、両者のテスト結果に微妙な違いが生じることもある。
  商品引渡契約 売買契約が結ばれた場合、売り主側には商品の引渡義務、買い主側にはその代金の支払い義務が生じるが、商品引渡契約は売り主側の商品引渡について取り決めたもの。商品引渡契約の中には、引渡時期と場所が盛り込まれる。引渡時期については、特定した日に引渡す引渡期日、特定した期間内に引渡す引渡期間、一定の期限を設ける引渡期限のいずれかがとられる。引漬場所については特別な契約がない場合は、売買契約時にその物が存在していた場所、また特定物の引渡は買い主側の営業所もしくは住所と定められている。
  商品別販売組織 販売組織の一形態であり、商品特性やブランド別に販売組織を構成したもの。生産部門と連動した製品別事業部制の営業部門としての組織形態をとることが多い。長所としては、商品特性に応じた販売活動が機動的にできる、生産部門との調整がしやすい、など。短所としては、同一顧客に対して営業窓口が複数になる、同一のマーケティング機能をもつ部門が複数あるため、組織全体としてはムダが生じやすい、などがあげられる。販売組織にはこのほかに機能別販売組織、チャネル別販売組織がある。
  正札政策 値札に記された価格で、いつでも誰にでも販売するという政策であり、値引は絶対にしない方針を示すもの。小売業の信用度を示すものであり、これまでのデパート商法の代名詞ともなっていた。しかし最近ではこの正札政策を維持することはきわめて困難になってきており、デパートなどでもシーズンなどを考慮してかなりのバーゲン(クリアランスセール)を行うところが目立ってきている。
  商物分離 流通は所有権の移転に関する取引流通(商的流通)と商品の流れ(物的流通)とに大別されるが、この2つの流れを分離することを商物分離という。これが可能となった背景には、各種の情報機器や情報システムの発達、運撒・保管・包装などの技術の革新、配送センター・倉庫などの機能アップがある。また、社会経済的な観点からみると、都市の過密化を防止し、交通渋滞を軽減し、都市効率を上昇させるなどの効果がある。
  商法 営利を目的とした活動について規定した法律。通常は、明治32年に成立した「商法典」をいう。しかし昭和25年に重要な改正がなされ、最近の改正は昭和56年に行なわれた。法典としての「商法」は、総則、会社、商行為、海商の四編からなっているが、実質的には、「商事特別法」(「担保付社債信託法」、「保険業法」、「証券取引法」など)、「商事関係条約」(「船舶衝突二付テノ規定ノ統一二関スル条約」)、「慣習法」)「企正ナル会計慣行」)、判例を含む。適用順位は、「条約」、「商事特別法」、「商法典」、「慣習法」、判例となる。「会社法」というときは、「商法典」の会社編、および「有限会社法」をいう。
 

将来財

【futuregoods】

消費者が、将来の生活の安定、向上のために支出する財のことで、今の生活そのものを楽しむ現代財と対比してとらえられる商品概念である。商品が高度に普及した成熟市場での、新しい市場開発のコンセプトとして期待されるものであり、次の4つの商品・サービス群がある(カッコ内は例示商品)。資産価値をもっており再生産が可能なストック財(住宅、土地、地金、宝石、長期預金)、人生の節目に必要となる費用のためのファミリー用投資財(教育費用、葬祭、子供の結婚費用)、自分自身に対する投資の性格の強い自己用投資財(資格、ホビー、カルチャー・スクール)、不時のための引当金的財(頭金、保険)。
 

ショーウィンドウ

【show window】

百貨店などで通りに面した壁面をガラス張りにし、その中にマネキン人形や商品などを使って夢のある生活の一部を演出し、通り客を店内に吸引するために設けられたスペース。店舗は閉めてもショーウィンドウは通りから眺められるため、広告効果としての機能も果たしており、百貨店などではシーズンごとにテーマを決めてショーウィンドウの演出を競っている。売場を生活提案の場として活用していくために、このショーウィンドウの生活情報発信機能が見直されてきている。
 

ショー・カード

【show card】

購買を促すため小売店のウィンドウやガラスケース内、陳列台、陳列棚などに置かれる価格カードや、商品説明のカード、目を引きつけるために工夫されたカード、特別割引のカードなどのこと。ディスプレイ・カードともいう。
 

ショー・ルーム

【show room】

自社製品を展示して、多くの人びとに広めるための場所、または部屋。展示のみに止まらず、その場で試用、試看、試食などをさせたり、実演したり、または即売や商談を行うこともある。自社内に恒久的に設置する場合が多いが、ホテルや催事場などを、一時的に借りることもある。
  職域販売 無店舗販売の一形態であり、役所や会社などの厚生部と提携し、職場まで出張して販売すること。スペースを借りて商品を陳列することもあるが、カタログなどを回覧して注文をとることもある。職員構成に対応した品揃えとボーナス時など販売のタイミングを工夫すると、販売コストの少ない効率のよい販売活動となる。
  商品衛生法 「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上および増進に寄与する」ことを目的とした法律。同法を貫く精神は「清潔衛生の原則」であり、その適用範囲は、飲食品およびその添加物、それに関わる器具および容器・包装であり、野菜・果実や欧食器の洗剤にも準用される。また、これらのものについて、厚生大臣は基準・規格およびその表示基準を設定することができ、それが設定されたならば、その基準に合う表示がなければ販売したり、販売のために陳列したり、また営業上使用したりしてはならないことを明記している。飲食品を扱う小売業者にとって、衛生がらみのトラブルの発生は店の信用面に致命的な打撃を与えるものであり、十分に注意する必要がある。
  食品の品質表示方法 消費者保護政策の一環として商品の規格・品質等の表示について各種の法令で規制を行なっている。食品については「食品衛生法」によって、容器・包装に入った販売用食品あるいは添加物の入った食品などの品質表示項目として、食品の名称、製造年月日、製造所在地、製造者氏名、食品添加物などについての表示が義務づけられている。また、日本農林規格に合格した加工食品については、このほか原材料名などを表示することが定められている。
 

ショツピング・カート

【shopping cart】

スーパー・マーケットなどのセルフ・サービス方式を採用している店舗において、顧客の店内回遊率を高め、商品をレジまで運びやすくするための買物カゴ付き車。
 

ショッピング・センター

【shopping center】

デベロッパーによって計画的に開発・管理され、全体が一つの商店集団として共通の経営政策で運営されている小売店群。通常は百貨店や大型スーパーを核店舗に、各種の専門店、レジャー施設、飲食店がテナントとして入居している大規模な駈車場を備えた商業施設である。ショッピング・センターは、その規模や機能によって比較的小規模で日常的なショッピング機能の充足をめざしたネバーフッド型、中規模で近隣商圏購買力の吸引をめざしたコミュニティ型、大規模で広域商圏の形成をめざしたリージョナル型の3タイプに分類される。車や道路の発達により、住まいが郊外に移り、それとともに商店が計画的に郊外に移転した。1950年代、米国で年間1000ものショッピング・センターが開発されるという大ブームが起きた。
シリ シリーズ広告 集中あるいは連続して行う広告の形式で、多くはひとつのテーマにもとづく。たとえば新製品の発表に際して、その商品のもつ特性を複数回にわけて発表することがあり、一連の広告によって、そのものの特性を訴える手法である。時には、同一のテーマのもとに賛同する複数の広告主が集まって行うこともある。雑誌、新聞広告が効果的とされている。
シン 親近性要因 消費者による店舗固定化傾向の背景となっている要因のひとつ。消費者の購買行動の中に、ある特定の店舗を決めて反復購入する傾向がみられるが、これに大きく寄与しているのが店舗に対する親近性要因である。「行きつけの店」「面倒見のよい店」「安心できる店」「信頼できる店」というのが具体的な内容である。商品が均質化している中で、この店選びともいえる消費者の感覚的な親近性要因の分析、研究はきわめて重要になってきている。
  真空包装 とくに食料品の腐敗防止のために、真空に近い状態で包装すること。包装材料は塩化ビニール、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの薄いフィルムが使用される場合が多い。実際には完全真空にするのは無理であり、そのため熱湯殺菌をしたり、防腐剤を少量混入させたりする。煮豆、漬け物、繚茶、餅などや、ハンバーグ、ハムなどの加工肉製品などの包装に使われている。
 

シングル・アンサー/
マルチ・アンサー

【single answer, multi answer】

アンケート調査などの質問に対する回答形式をさす。シングル・アンサーは略してSAともいい、質問に対する回答が1つに限られるもの。たとえば「あなたの年齢は」という質問に対する選択肢が、19歳以下、20代、30代、40歳以上、と用意されている場合がSAである。それに対して、マルチ・アンサー略してMAは、複数の回答がありうる形式。たとえば、「お宅で持っておられる電気製品は何ですか」という質問はMAである。
 

シングル・マーケット

【single market】

ファミリー市場に代わって、急速に拡大している単身生活者を対象としたマーケット。その背景となっているものは、女性の初婚年齢の高齢化、離婚の増大、サラリーマンの単身赴任の増加、高齢化に伴う配偶者の喪失、などである。今後、この傾向はいっそう強まり、全世帯の四分の一以上が、単身世帯になると予測されている。シングル・ライフをめざした、商品やサービスの開発が重要となっている。
  新製品発表会 販売店を対象とする場合と最終消費者(ユーザ)を対象とする場合のふたとおりがある。販売店を対象とする発表会は内見会などともいい、メーカーなどが販売店の需要動向を把握したり、具体的な注文をとったりもする。最終消費者を対象とする発表会は、販売店が自店の顧客にダイレクト・メールなどを発送して会場に集め、そこで新製品をPRして買う気を刺激するために開くものであり、自動車ディーラーが新車発表会と称してよく実施している。
 

深層面接

【depth interview】

心理学者フロイトらによって開発された精神分析の方法であり、通常は自覚されることのない抑圧された意識下の精神現象を面接によって探るもの。市場調査などで深層面接という場合には、このような専門的なものではなく、回答者の心理状態をできるだけ自由な状態におき、何の先入感も与えずに思ったことや感じたことを自由に回答してもらうものをいう。消費者から商品やサービスに対する不満や要望を収集する時などに使われる面接法である。小売業などでは、店に対する消費者の不満や要望を具体的に把握する手法として活用されている。
  浸透価格政策 価格戦略のひとつ。新製品の発売初期の価格を比較的低い水準に設定し、できるだけ早く市場全体への漫透をはかり、市場シェア(マーケット・シェア)を確保することを目的とする政策価格志向の強い大衆商品によく採用され、後発メーカーが先発メーカーの市場シェアを奪う戦略の時にも利用される。これと逆の政策が上澄み吸収価格政策である。
  新聞折込広告 折込広告あるいはチラシ広告とも呼ばれる、新聞の中にチラシを折り込み、各家庭に配達する広告。古くから利用されていた形式であるが、昭和40年代の半ば以降、市場が多様化し、きめ細かな地域戦略がマーケティング戦略の中心をなすにつれて、地域セグメント媒体として重視されるようになった。