流通再生戦略
 
第1章 小売業の原点−マーチャンダイジング
 
小売りの原点に戻れ
 
  成長が止まると小売経営者が必ず言い出す言葉がある。それは「小売りの原点に戻れ」という言葉である。これもおかしな話であるが、おそらく自分自身も小売業者の原点を忘れてしまい、経済界だの業界だのと忙しかったのであろう。それも重要なことであるのだろうが、小売業に最も重要なことは、顧客の購買代理業であるということである。単身独身世帯、主婦、おじいちゃん・おばあちゃんに変わって世界中から家庭の冷蔵庫まで商品を届ける購買代理人が小売業者である。清潔なもの、体によいもの、おいしいもの、季節感のあるもの、そのような商品を食卓まで届けるのが小売業者の役割である。しかも合理的な価格で。この合理的な値段が小売業者の宿命的な命題である。合理的な価格実現のためには少しのムダもできない。ムダな売場面積、ムダな品揃え、ムダな販促費など徹底的にムダを排除すること、それが小売業者の宿命的な挑戦課題である。特に集中しなければならないこと、それは商品にある。何万単品あろうともしっかりと単品で商品を評価する組織を作り上げることが最も重要である。超一級の人材をマーチャンダイザーの責任者にすることこそ、小売業再生の最大の近道になる。

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