データベース・マーケティングは3Rの実践(P13)
3Rとは、リレーションシップ(Relationship)、リテンション(Retention)、リファラル(Referral)の頭文字。顧客との関係強化、既存顧客の継続利用、顧客の口コミ創造が目的となる。
関係構築、継続利用促進のためには3Tの実践(P17)
3Tとは、ターゲティング(Targeting)、テイーラリング(Tailoring)、タイイング(Tying)の頭文字。チャンスのありそうな顧客に的(ターゲット)をあて、顧客別にメッセージやオファーを特別仕立てにし(テイーラリング)、リレーションシップをベースにして更に強い絆を構築し維持する(タイイング)。
ライフタイム・バリューの計算方法(P25)
ライフタイム・バリューを計算するためにはある年度の顧客数を特定する。たとえば、ランダムにある年度の10万人を選定する。その10万人が翌年、何名購入したかを判別する。10万人の年間購入金額も算出する。7万人であれば継続率70%(離反率30%)、その7万人の年間購入金額を集計する。この7万人の3年目の購入顧客数(70%継続率で490人)と購入金額を算出する。1年目の購入金額が1000万円、2年目の購入金額が700万円、3年目の購入金額が490万円であったとする。
最初の10万人から生れる累計購入金額は1年目1000万円、2年目1700万円、3年目2190万円になる。この累計金額を当初の10万人顧客数で除算する。1年目100円、2年目170円、3年目219円。この数値が顧客1人当たりのライフタイム・バリューになる。年が進むほどライフタイム・バリューは大きくなる。また継続率が高くなるほどライフタイム・バリューは大きくなる。したがって、顧客の継続販売、離反防止がライフタイム・バリューの最大獲得のためには重要であることがわかる。
詳細な計算方法は本書p28の表4・5、p32の表6・7を参照。
データベース・マーケティングの展開方法(P42)
「じょうご」システム(仕組み)体系を紹介。見込み客探しがスタート(リード・ジェネレーション)。そして見込み客を購買客(ファースト・バイヤー)に、最初の購買客を継続客に。リード・ジェネレーションはダイレクト・レスポンス広告を活用する(p46)。継続購入客づくりはフリークエント・マーケティング・プログラムを導入する。
航空会社のマイレージ・プログラム、百貨店など小売業が導入しているポイントシステムなどはフリークエント・マーケティング・プログラムである(P53)。
消費財メーカーのデータベース・マーケティング(P65)
ネスレ社がフランスで実施した消費者と直接コミュニケーションを取る方法を紹介(詳細はダイヤモンド社『マルチメディア時代のマーケティング革命』ラップ&コリンズ)。
消費財メーカーが消費者にダイレクトに販売するためには何らかの方法で顧客リストを収集しなくてはならない。ビジネス成果を評価していくためには成果を分析するデータベースを準備する。以下の分析情報が必要になる(P76以降)。
1. RFMセルコードによる顧客分類(チャンス客、離反客分類)
2. 関連商品購入分析(ある顧客は何と何を購入する傾向があるかなどの分析)
3. クロスセル分析(販売商品の購買相関はどのようになっているかなどの分析)
4. 媒体別販売効果分析(新聞・雑誌・ラジオなどの購買反応率分析)
5. プロモーション別販売効果分析(ダイレクトメール別の購買レスポンス率分析)
6. 商品別顧客数時系列分析(販売商品のライフサイクル分析)
プロモーション計画の立て方(P112)
1. 「年間プロモーション実施予定表」(p110)を作成すること
2. プロモーション単位に「プロモーション申請書」を作成すること
3. プロモーション単位に「プロモーション計画表(プロダクトミックス)」を作成すること
4. プロモーション単位に業務単位ごとのスケジュールを記入した「個別プロモーション実施予定表」を作成すること
コンシューマー・バンク構想(P203)
耐久消費財メーカーは商品保証書を製品箱に挿入している。各耐久消費財メーカーのそれを第三者が一手に収集して商品保証書データベースを構築する。そのデータベースで製品別市場状況、マーケット・シェア、顧客属性別(デモグラフィック)製品購買動向の分析が可能になる。
消費者にとっての利点は保証書がコンシューマー・バンクによって管理され、メーカーからのサービスが適切に受けられる。つぎのような利点が可能になる。
1. 欠陥商品の購入者を特定できる。
2. 市場データを継続的に把握できる。
3. 購入者の特定が可能になり、特定製品のユーザー調査が可能になる。
4. 顧客リストのデータベース化ができ、ダイレクト・コミュニケーションが可能になる。
参考はNDL社の「ライフスタイル・セレクター」ビジネス。
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